明けましておめでとうございます。
2013年は何か書こうと思っていますが、何を書こうか特に決まりもしないので
もし決まった時用に向けて、ここに練習をつらつら溜めていく事にしました。

練習には、3つのお堅いルールがあります。

1)15分(時々30分)以内に書き上げる
  いかなるお題であっても30分以内に書きます。最近15分縛りの方が多いです。
  書けなかった場合は挫折した様子も残した上でもう一度やり直します。
  時間の都合上清書も基本的に行わない為、雑な文章が混じりますが仕様です。一回の清書より十回の駄作。
2)お題を取り替えてはならない
  どんなに難しいお題であっても再更新するなどして、今のお題を無視し新しいお題にいきません。
  これやるとキリがないからです。無茶振りだろうが何だろうがKIAIです。
3)一日一回以上は書く
  その日の予定などで時間的に無理でない限り、一日一回は書きます。もっと出来たらもっと書きます。
  時間的に無理な日はさすがに無理なもんは無理なので無理です。

以上、ルールでした。
これより下は本番です。じゃなかった練習です練習。


題名:体重計

餅は美味しい。餅つきで作った餅は格段に美味しいが、ここ数年はスーパーの安い切り餅だ。
しかし、そんな安売り餅でも水を入れた器に沈めて、電子レンジでチンするだけで、それはもう素晴らしいお餅になる。
いい時代になったものだ、と思いながら、砂糖醤油でまた一口いただく。
たっぷりの砂糖にほんの少しの醤油を垂らして作った甘辛いタレが、これまた食欲をそそる。

ただ、あいつと一緒に過ごすのは本当は嫌だ。
あいつは私の秘密をバラす。
ここでこうやって美味しい餅を食べた事も、そのうち私に告げ口する。
この餅を私が自分で買ってきて、完全な証拠隠滅によって家族にバレなくても、あいつにはバレる。

スーパーでは季節感の欠片もなく、いつでもお餅は売っている。
それでもお正月しか食べないのは、お正月が特別だからだ。
この日だけは、基本的にお餅を食べても高級品だとは思われない。罪にも問われない。むしろ食べるのが普通だ。

そう、これは私に限った事ではない。皆が食べている日なのだ。なのにあいつは嫌な事を言う。
いっそ殴ってやってもいいくらいなのだが、多分私の手が負ける。あいつは強い。
何かの拍子に傷でも付けようものなら、むしろ家族に言いふらされて私の立場がなくなる。

砂糖醤油がなくなりかけたところで、私は次のお餅をチンするのを止めた。
これ以上はマズい。
私はまだ乗ってないあいつをキッと睨み付けた。

無論、あいつにそんな攻撃が効くわけはなかった。
乗るのは明日にしよう。
いや、明日だとむしろ体重が増えてダメージが大きくなる。午後に乗ろう。

2013/1/20
お題
あいつと正月
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:雨宿り

天気予報は「午後から雨」と言っていたので、午前中に出てきたのにこの雨だ。
ゲリラ豪雨は、実は予測は出来るらしい。
出来るのだが、時間的に寸前にしか分からないので予報では言えないのだそうだ。
僕からすれば、それは予測出来ると言わない。
予測出来ると言うからには情報として入ってこないと意味がない。
こうして肩幅ギリギリの屋根のある、自動販売機の前に立った事のない連中が言ってるに違いない。

ただ、この雨は皆予想外だったのだろう。
通り過ぎる人達は、ことごとく傘を差さず小走りで僕の前を通り過ぎていく。
携帯電話で時間を確認してみると、まだ家を出て10分も経っていない。
まだ慌てるような時間じゃない。雨が止むのを不本意ながら待つ事にする。

そこへ突然、やっぱり小走りで一人の女性がこちらへ向かってくる。
僕の知り合いかと思ったがそうでもない、と確認するより先に彼女が僕の傍へと詰め寄ってきた。
少し息のあがっている見知らぬ女性に、何とも声もかけられず、穴があったら入りたい気分になった。
「雨宿りですか?狭いですねここー」
呼吸を整えつつ、早口で喋るOLっぽい女性。
手提げ鞄の水なのか埃なのかを叩きながらそう話す。
「え、ええ…突然だったから」
「私、仕事で初めて来たんで…あー折り畳み持ってきてない」
居心地は決して良くないが、女性とこんなに接近して、まして会話など出来る機会は滅多にない。
僕は不思議な居心地を感じながら、気付けば女性と色んな事を話していた。

やがて雨が止み、僕らは分かれた。
携帯の時計は、あれからまだ5分しか経っていなかった。

2013/1/19
お題
理想的な雨
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:星の意味

クリスマスツリーにとって一番重要なのは、あのてっぺんにある星だ。
モミの木に適当に飾りつけただけでクリスマスツリーとは言わない。
だが、実際にはあの星を付けずにクリスマスツリーを名乗る木は多い。
星は、キリストの降臨を意味している。
クリスマスとは、キリストの降臨を祝う祭りである。
だから、星を乗っけてこそクリスマスツリーの価値が始めてあるのだ。

とか何とか言いながらあいつは星を取り付けているが、要するに「脚立から手を離すな」と言う事だ。

2013/1/18
お題
あいつの星
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:ちっちゃな保険

いよいよ試験が近付いてきた。
不思議なもので、本番は緊張して頭が真っ白になるんじゃないか、とか、現場に到着するまでに事故だの何だので足止めを食らうんじゃないか、とか、寸前まで色々考えていた。
しかし、いざ時間通り現地に着き、今のように問題用紙を裏にして待っているこの瞬間は、凄く冷静だ。
左前の人の右足が少しズレてるな、と目だけで追ってみたり、外の雪が落ちる音を耳で感じる。
他の皆もこんな感じなのだろうか。だとしたら凄いと思う。
何故なら、私がこんなに冷静でいられるのは、実は勉強してきた時間によるものでも、自信過剰なわけでもない。

彼からもらった鉛筆を握り締めていると、チャイムが鳴った。さぁ、第一ラウンドだ。


2013/1/16
お題
ちっちゃな保険
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:ロリコン

オレはエロ本も、PCの中の動画でも抜き飽きた。
そこで、脳内で全力でエロい事を考えようとした。

幼馴染の着替え姿をたまたま見てしまったとか!
プールに行った時に見えてしまった幼女とか!
温泉に何故か紛れ込んでくる幼女とか!

…いや待て、さっきからだんだん年齢が幼くなってないか…
違うオレはロリコンじゃないぞ違う断じて違う…いや待て、必死に否定すると余計に怪しくなる。
「そんな、ロリコンじゃないですよ。そんなアブノーマルな趣味あるわけないじゃないですかー」
そう、これくらいだこれくらいがソフトでいい。
いや、でも待て。ロリコンが何でアブノーマルって知ってるんだ。やっぱり変態じゃないか。
「えっ、何?ボディコン?」
いや、古い。ボディコンってお前。今の時勢にボディコンはないだろ…
「えっ、ごめんもう一回言って?」
ってこれじゃもう一回ロリコンか尋ねられるじゃないか!
「ああ、ロリコン?そんな人もいるよね?」
うわああああ!これじゃあオレにロリコンの知り合いがいる事になっちまうじゃないか!
「うち、そういう血統なんです」
…お?これじゃね?これならオレの親父のせい、もっと言えば先祖のせいでオレのせいじゃ…
ああああ先祖に申し訳ないよぉおおお!!

気が付いたら先祖に土下座をしていた。血統?

2013/1/16
お題
いわゆる血液(必須要素:全力のエロス)
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:アシュラ月

腕を数えているうちに、何本か分からなくなった。
星座なんて、人間が適当に星の並びを見てこう見える、ああ感じるだので出来ている。
だから、別にこっちの事情で見え方が変わっても構わない。
そもそも、夜空なのにその主人公である月を無視して星を数えていいのか。
月も星だ。月のない星座なんて旗の立ってないお子様ランチのようなものだ。
つまり、体は成しているが肝心の主役がいない。
だから、月を星の中心にして、月から見える星を繋いで新しい星座を作ろう。

――そうして一時間、未だ星座は出来上がらなかった。
星座が好きな事が災いしている。
他の星を見ると既存の星座だと気付いてしまい、月を上手く混ぜられない。
満月は、私の期待に応えてくれないのか。
そう思うと、今度は途端に月という存在が疎ましく感じてくる。
多分、考えすぎて頭が疲れているからだろう。
ため息をつきつつ、すでに草臥れた首を必死に上げて夜空を見上げる。
その時ふっと、何かが見えた気がした。

月が真ん中にいて、様々な星座がビッシリと広がる夜空。
星座はまるで月から手のように伸びていて、全てが月の管理下に置かれているかのような錯覚を覚える。

アシュラ月、とノートに書き込んだ。漢字が出て来ないから、後で辞書で調べよう。


2013/1/14
お題
阿修羅月
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:阿修羅月って単語がググっても出てこない

「月の後ろにEXILEを置けば阿修羅月にならない?」
「多分気持ち悪いだけだと思う。っていうか月でしょ」
「何が言いたい」
「やっぱ月といえばロマンティックじゃん?ロマンをちょうだい」
「イケメンがいっぱい」
「ロマンだ!!!!」

お題が想像以上に無茶振りwwwwwwwwwww

2013/1/14
お題
阿修羅月
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:最終リレー


最後のタスキが渡るまで、誰も予想出来ない白熱した徒競走になっていた。
赤と白のタスキがほぼ同時に、助走距離も打ち合わせしたかのごとく同じ。
ただ唯一、内側のコースを走る点で赤が有利に見える。
大歓声の中飛び出した赤と白を背負った男の子らは、そんな外野の予想も知らず、勝利を信じて走る。
直線で白が一つ前に飛び出した。ここぞと言わんがばかりに赤の前に出る。
カーブは白が前を走る。赤が前へ出ようとするが、一つ外側のコースで抜くには無理がある。
次の直線で、両者がほぼ横並びになる。赤が追いついてきた。
しかし、再びカーブがやってくる。ここで赤が勝負に出る。
少しペースの落ちてきた白を、曲がりながら外側のコースで抜き去る。
最後の直線に赤が入る。バテ始めた白も負けていられない。ここにきてむしろペースが上がる。
ゴールテープを切ったのは…赤だった。
高い笛の音と共に、子供達の最高の競技が終わった。

2013/1/13
お題
秋の男の子
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:ネタメモ

「はいどうぞよろしくお願いしますー」
「よろしくお願いしますー」
「いやいや、今地球では冬なんて寒い時期らしいですけどねー」
「火星にも季節はあるんですけどもね」
「雪とか降るんですよ!住みにくい!」
「いや火星でもシェルター以外じゃ住めねぇよ!」
「でもでも考えてみて下さいよ。シェルターにいれば住みやすい!」
「そりゃ地球でも一緒だよ!」
-ネタメモ帳-

2013/1/12
お題
未来の喜劇(必須要素:火星)
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:うんこ

いいや、これは善意なのかもしれないと思う。
もし僕がここで右手を地べたに付けていなければ、全身やられていた可能性だってある。
そもそも、手が出たおかげで怪我はしていない。
もしここで僕が怪我をして、しかも例えば足を怪我して動けなくなったら。
こんなマンションから出て階段を降りたすぐの場所で、まるで大怪我のように扱われたら死ぬ。
精神的な意味で死ぬ。いや、今もちょっと死にかけているがそれは本当に死ぬ。

色々言い聞かせながら、僕はこの現場を目撃される前に手を洗いに行った。臭い。いや嗅ぐな。

我ながら酷い。でも茶色とか言われたらもううんこしか浮かばなくて

2013/1/11
お題
茶色い善意(必須要素:右手)
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:小さな反逆

実行しようと決めたのは、去年のクリスマスだった。彼からプレゼントを貰いながら決意したのだ。
彼は私にとっては素晴らしい人だった。
泣いたら撫でてくれて、笑うと一緒に笑ってくれて、怒ると謝ってくれた。
でもその一方で、私はちょっとした劣等感を抱いていた。
自分が彼に見合うような人間なのだろうか、とずっと思っていた。
もちろん、そんな事を聞いたら彼は優しい言葉を私にかけてくれるだろう。
でも、それじゃダメだ。それじゃ、彼に優しい言葉を吐いてと言っているのと同じ。

自信を持って、彼を一回だけでいいから、リードしたい。
彼の前に立って、彼に手を差し伸べたい。

今年も、クリスマスがやってくる。
だから、その時には私が自信を持って、彼に言おうと思う。
「私を貰って下さい」って。

2013/1/10
お題
12月の反逆
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:家計簿

改めて家計簿に目を通すと、自分で言うのもなんだが意外としっかりと管理出来ていると思う。
収入に見合った支出だし、貯金もほんの少しだが出来ている。
とはいえ、油断は出来ない。人生とは何が起こるかわからないもので、ひょんな事から救急車で運ばれて入院でもしようものなら、貯金分はパーになる。
もちろん、そういう時の為にこうして家計簿を残して、上手くやりくりしているのだが。

「お母さん、お母さん」
自画自賛をしているところに、パジャマ姿の我が子が現れた。もうこの子も5歳になる。
本人お気に入りの青い水玉模様を身に纏い、寝癖を直す様子もなく私に話しかけてきた。
「どうしたの?」
「これ、返す」
小さな手からぽとんと、少し荒れた私の手に100円玉が落とされた。
「借りたら返さないといけないって。お父さんが」
そういえば、以前自動販売機のジュースを欲しがって、100円を貸した事を思い出す。

我が子の成長を褒めながら、私は家計簿に100円の収入を書き込んだ。

2013/1/9
お題
記録にない借金
即興小説トレーニングに投稿 15分


題名:ずぶ濡れのサラリーマン

土砂降りの雨音が、二人の男の小さな口論を押しつぶす。
天使の涙というにはあまりに大きすぎる雨粒が、二つの影すらも曖昧にし、そこに二人という存在がいる事は最早、酒屋の老婆のみが知る事となった。
しかも、老婆はそんな事気にも留めずシャッターを下ろし始めている。

二つの影はうねる用に動いたと思いきや一つとなり、しばらくしてまた二つになる。
最初は取っ組み合いだったそれは、やがて暴力となり風を裂く。やがて一方の影が小さくなり、戦いの終わりを告げる。

終わりのゴングは意外にも、男の泣き声だった。呻きに近いそれはもう一方にも伝播し、二人揃って泣き出した。
声は雨音に押しつぶされ、涙は雨粒に流された。
やがて雨が止んだ。通り雨だったらしく、二人の男を即席の水面が映し出す。
スーツもネクタイもぐちゃぐちゃだったが、二人の顔には笑顔があった。

2013/1/8
お題
男同士の豪雨
即興小説トレーニングに投稿 15分


おいそこのお前!ちょっと待て!!今席を立とうとしただろう!立つな!書け!鉛筆を持て!
いいか?来年笑顔で東京タワーに登れるかどうかは、この時期にかかってるんだ!!
今勉強してライバルを追い抜いておかないと、お前たちに夏休みなど永遠に来ない!
課題を見ろ!山積みだな!そうだ、先生が積んだんだ!!
標準を最上段に合わせろ!そこが終わるまでお前達は受験生ですらない!それが終わって、初めて受験生を名乗れ!
コラそこ!俺の言葉をじーっと聞いてる暇があったら手を動かせ!集中!!

ポケモン新発売の件で軽くテンションがおかしいけど課題は守ったし良しとする。


2013/1/8
お題
『夏休み』の『東京タワー』で『見咎める』。
『照準』というワードを使って。

http://ask4416.com/thememaker/theme.php?themeid=00076007290238200440
30分


当然と言えば当然の事なのだが、学校を卒業する事は部活も卒業するという事だ。
3月31日が終わると同時に、私はこの部活の部員でもなくなる。
なんとなくそれが嫌で、もう卒業式の終わった学校の運動場に来ていた。

卒業式の時こそ泣いたり笑ったりしたものの、それが終われば普段通りの時間が流れる。
31日という日もその例外ではなく、普通に色んな部活が練習をしていて、少し寂しくなった。

誰でもそうだろうが、練習というのは基本的に地獄だ。楽しくないし、辛いし、痛い時もある。
褒められる事もあるが、大体は怒られたり怒ったりだ。
しかし今日だけは、何故かその地獄にいる人達の表情一つ一つが、とても羨ましい。
いつもは嫌な怒鳴っている人の声も、何となく心地良い。
練習の飛び交うかけ声に、思わず自分も参加したくなってくる。

今自分が立っている場所は、きっと楽園なんだ。

2013/1/7
お題
『春』の『運動場』で『離籍する』。
『楽園』というワードを使って。

http://ask4416.com/thememaker/theme.php?themeid=00006001680259801744
30分


迷子を探すうちに、自分が迷子になっていた。

そうボソッと呟いてみたが、頭が痛くなるだけだった。
8月の真昼間、亜熱帯の灼熱地獄と化した日本の屋外で、私は何をしているんだろう。
元はといえば、親戚の犬の散歩を何故私がやらねばならないのか。
そして、そのバカ犬が勝手に走り出してリードが切れた事だって、私のせいではない。
悪いのはバカ犬か、こんなボロのリードを渡した親戚か、はたまた夏のせいだ。

しかし、逃げたバカ犬を恐らく誰よりも私が心配している。
いくら田舎とはいえ、車も通る。もし他人に噛み付いたりしようものならどうしよう。
そうなったら、私の立場がない。この時点で何故か私が悪者扱いだ。

とはいえ、一人で探しても限界がある。実際、今まで何の手がかりもない。
気が進まないが、これ以上の事態の悪化はまずい。
私は親戚含む家族に相談しようと、家に帰る事に決めた。
重い気持ちとは裏腹に、足は小走りになっていた。
犬への心配が半分と、これ以上知らない道を歩く必要がないという安堵感が、自然とそうさせたのかもしれない。

家に到着した時、犬の鳴き声が聞こえた。間違いなくバカ犬の鳴き声だ。
私は、頭の中で事態を把握するのにかなりの時間を要した。


2013/1/6
お題
『8月』の『頭の中』で『把握する』。
『迷子』というワードを使って。

http://ask4416.com/thememaker/theme.php?themeid=01249018260162201319
30分


結局仕事は片付かず、土曜日だというのに書類の山を前にする事となった。
しかし、やらねば終わらない。意を決して、一番上の薄い紙を手に取る。
薄い。目の前の山を崩すのに、一体何回この作業を行わなければならないのだろう。
誰も助けてくれない孤独な戦場で、時折冷や水をかけてくる自分という魔物と戦いながら、山を削る。

三分の一程片付いた時、手元のメモ帳に目が行った。
こいつが今日を休みの予定だと書いてなければ、まだ気分はマシだったかもしれない。
いっそメモ帳を贋作して、他の人間の休みを奪えないかとすら思う。
今日が休みでなかったら、ここまで心労が祟る事もないのだ。

日が沈む頃に、書類の山はすっかり移動し、全て既読の新しい山となった。
片付いたという安堵感と、もうこんな時間という残酷な現実が、身体をベッドへと向けた。


2013/1/5
お題
『土曜日』の『戦場』で『沈む』。
『贋作』というワードを使って。

http://ask4416.com/thememaker/theme.php?themeid=00780015270250401162
30分